0. はじめに
授業概要(到達目標)
- 機器分析の基礎的な事項について適切に説明し,論述できるようにする.
- 目的に見合った費用で機器分析を行えるようにする.
- 産業の現場での応用事例に関する知識を習得し,分析機器を使えるようにする.
- 分析機器の較正や分析手法の標準化に関する知識を習得し,適切な分析結果を得れるようにする.
授業計画
- 分析機器の歴史と分析機器の較正 -JIS規格と計器が示している値-
- 物理計測 -長さから顕微鏡で見つめる細菌-
- 状態計測 -反応器の状態を監視せよ!-
- 測定値の変換と伝送 -センサーの精度、確度、寿命-
- 測定値の記録と管理 -記録メディアとデータベース-
- 品質管理と機器分析 -異物・断線・不純物と工業製品-
- 機器の導入、運用、保守と費用対効果 -分析機器は商品を安くできるか?-
- 液体材料の成分分析 -エネルギーを与えて情報を得よう-
- 固体材料の成分分析と組織分析 -X線分光法,粒度分布,顕微鏡ー
- 分散系や複合材料の分析 -粘度,粘弾性,ポワソン比-
- 表面や界面や分析 -密着性試験,表面堅牢性-
- 物性計測 -導電率,誘電率,磁率,磁化率,熱伝導性-
- 製品の特性評価 -電池のインピーダンスと活物質分析-
- 安全性試験と劣化解析 -燃焼試験,加速度試験,下水モニタリング-
- まとめと論文作成
1. 分析機器の歴史と分析機器の較正
単位と数値、計量法、分析化学のJIS規格。その計器が示している値はほんとうに正しいのか?
2. 物理計測
長さ、質量、時間、周波数、MKS単位、エネルギー、 ノギス・校正・JIS、 レーザー墨出し器、顕微鏡、望遠鏡、カメラ人類がもっとも最初に計測できた量、おそらくそれが長さです。長さというのを改めて考えてみると光で測っているのだと気がつきます。目で見えないものは長さを測ることができませんからね。長さから派生する広さ(面積)や大きさ(体積)も長さを計測することではっきりとわかります。おそらく人類がまだ人類でなかったころから狩りの勝率を推定するのに自分より大きな相手と戦わないために目でケンカする相手の大きさを確かめたのでしょう。大きい小さいでは客観性に乏しいのでまずは共通の棒切れを基準に長さを決めていったものと思われます。
その長さをより精密に計測できるようになった技術としてレンズの発明があります。望遠鏡は実感が難しい宇宙の大きさを顕微鏡は肉眼でみることができない細菌の大きさを客観的に計測できるようにしてくれました。そしてカメラの発明はそれら客観的に計測した長さを情報として紙に記録できるようにしてくれました。
3. 反応器の状態を監視せよ!-状態計測-
生産ラインにおけるモニタリングの意味について議論します。
温度 、圧力、電圧、照度、湿度、電力 工学部学術情報基盤センターのサーバ室温度 米沢キャンパスの電力消費量4. 測定値の変換と伝送
センサ
気圧センサ、カラーセンサ、地磁気センサ、加速度センサ(ジャイロエミュレータ) CO2センサ、臭気センサ、騒音センサ、人感センサリチウムイオン電池監視LSI, 電子ピアノ
センサーの精度、確度、寿命について議論します。
情報処理概論アナログデジタル変換
AD変換器、FFT、ダイナミックレンジ、SNR無線式モニタリング
Bluetooth, ZigBee, Wi-Fi5. 測定値の記録と管理
記録メディア 管理図 セキュリティ データベース データーベース
6. 品質管理と機器分析
不純物、コンタミ、異物、カケ、ピンホール、ヤレ、ヒケ・・・砂カミ、断線、ウイスカー
メモ、顕微鏡では異物、カケ、ピンホールなどをチェックします。
管理図、最小自乗法
顧客クレーム対応
7. 機器の導入、運用、保守と費用対効果
導入、保守、運用に関するコストを調べ、費用対効果について議論します。
8. 液体材料の成分分析
物体のエネルギー吸収と分光分析
機器分析:吸光光度分析と蛍光光度分析
参照:庄野利行、脇田久伸, 入門機器分析化学, 三共出版, 6-30, (1988).機器分析:原子吸光分析、フレーム分析および発光分光分析
JIS K0557
9. 固体材料の成分分析と組織分析
セラミックスや金属の成分、その組織や結晶状態などを調べる方法です。
機器分析:X線分析法
粒度分布、顕微鏡
10. 分散系や複合材料の分析
粘度、粘弾性、ポワソン比、テンシロン
機器分析:クロマトグラフィー、MALDI
機器分析:電気分析法、熱分析
土壌酸度(pH)計11.表面や界面や分析
密着性評価、表面堅牢性
12. 物性計測
導電率、誘電率、透磁率、 磁化率 ポワソン比、ヤング率 屈折率、光分散 熱伝導率