●2003年度(平成15年度)卒業研究1)
◆2003(平成15)年度ノート2)
<緒言及び目的>
現在、小型大容量のコンデンサとしてタンタル固体電解コンデンサが実用化されているが、タンタルの資源は希少であるため、高価であり、需要の大小により価格が変動し供給安定性が悪い。そのため最近ではタンタルに変わる陽極材料として、アノード酸化皮膜の誘電率が40と高く、資源が豊富なニオブに注目が集まっている1?。しかしニオブのアノード酸化皮膜は、タンタルのアノード酸化皮膜に比べ、熱による影響を受けやすく、容量がバイアスに依存し、漏れ電流が多い等の欠点がある2?。それらの諸問題を解決すべくニオブの酸化皮膜の研究がされているが3?、絶縁特性に関して酸化皮膜/電解液界面でしか評価されてこなかった。そこで本研究では実際の固体電解コンデンサに類似した酸化皮膜/固体電解質界面での絶縁性と水分の影響について明らかにすることを目的とした。
<実験方法>
ニオブワイヤ(φ0.3mm、99.9%、ニラコ製)を13cm切り取り、そのうちの10cmを渦巻状(約φ=7mm)にし電極を作成した。アルカリ脱脂後、0.1Mリン酸水溶液中において電流密度1mA/?で20V(VS Ag/AgCl)までアノード酸化皮膜を生成させ、さらに電位を20Vに保ち20minエージングした。酸化皮膜上に接触させる固体電解質として、二酸化マンガン(IC-21)を用いた。二酸化マンガン50mgを量り取りテフロン分散腋を2滴加え混練し電極に1kgf/cm2で10s圧着した。その後真空電気炉で120℃、6時間乾燥させたものを試料極とした。その試料極をクロノポテンショメトリーにて測定した。電解液は水分添加し水分濃度を変化させた1M LiBF?(PC+DME、50:50)を用いた。対極は白金、擬似参照電極は銀電極とした。測定後カールフィッシャー水分測定装置で水分を2回測定した。
<結果及び考察>
水分濃度 絶縁破壊電位 VS Ag
60ppm 3.66V
1200ppm 4.23V
1600ppm 4.56V
Table 1に電解液の水分濃度を変化させたときにクロノポテンショグラムにおいて絶縁破壊が起きた電位を示す。電解液の水分が多いほど絶縁破壊電位が高くなり、二酸化マンガンが接触しているニオブアノード酸化皮膜の絶縁性が高くなる事が分かった。これは環境中の水分により漏れ電流の原因となっているニオブアノード酸化皮膜の欠陥部が修復していることを示唆している。よって固体電解コンデンサに水分を含ませることにより性能が向上する。
<参考文献>
1?小野幸子、電気化学秋季大会講演要旨集、p.245 (2003)
2?長原和宏、坂入正敏、高橋英明、小田幸男、ARS樽前コンファレンス予稿集、p78 (2003) 3?大館広和、阿相英孝、小野幸子、2002年電気化学秋季大会講演要旨集、p.160(2002)
<自然電位測定の方法>
本実験の自然電位の測定方法を示す。ニオブ渦巻状電極上に20V(vs Ag/AgCl)のアノード酸化皮膜を化成した後、その表面上に二酸化鉛もしくは二酸化マンガンをテフロン分散液で結着し圧着した。その電極を作用極とし、参照極にAg/AgCl、対極に白金を用い、電解液を20Wt%リン酸水溶液3)とした三極式のセルを組んだ。次にポテンショスタット(COPER 9101)をE-METERモードにしておき作用極を電解液に浸した時の電位を自然電位として計測した。
伊藤 晋:卒業論文
よしきらの卒論を継承してます。4)5)6)
ニオブ7)
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( 1)  緒言(C > C1履歴 > 【2003年度(平成15)卒業研究】, C1履歴仁科 辰夫, 卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, ( 2003). ( 2)  ◆2003(平成15)年度ノート立花 和宏, 研究ノート, ( 2007). ( 3)  リン酸,  ,  H3PO4(aq), = 97.99522 g/mol, ( 化学種). ( 4)  ニオブアノード酸化皮膜の絶縁特性に及ぼす熱処理雰囲気の影響伊藤 晋, 山形大学 物質化学工学科, 卒業論文 ( 2004). ( 5)  ニオブアノード酸化皮膜の絶縁性及び固体電解質による皮膜修復性能の評価岡田 和正, 山形大学 物質化学工学科, 卒業論文 ( 2003). ( 6)  種々の電解条件下における非水溶液中のニオブのエッチング制御武蔵 信之, 山形大学 物質化学工学科, 卒業論文 ( 2003). ( 7)  実験方法 > 材料&試 > 金属材料 > バルブメ > ニオブとその化合物, バルブメタルのアノード酸化とエッチング仁科 辰夫, 卒業研究(C1-電気化学, 講義ノート, ( 2006). |