f(x)=x+1という関数を考えてみましょう。 (xに1を足す)
x = 2 のとき、f(x) = 3 x = 1.1 のとき、f(x) = 2.1 x = 1.01 のとき、f(x) = 2.01 x = 1.001 のとき、f(x) = 2.001 x = 1.0001 のとき、f(x) = 2.0001
このようにxを限りなく1に近づけると、f(x)も限りなく2に 近づきます。このようなとき、 「xを1に近づけたときのf(x)の極限は2である」と 高校では教えます。
でも、この「限りなく」という言葉は数学的に見て あまりに厳密性にかけます。
そこで、f(x)から2を引いた誤差、f(x)-2を±0.1以下にするには、 x-1をいくつ以下にすれば良いかを考えることにします。 そう、x-1を±0.1以下にすれば、f(x)-2も±0.1以下にできますね。
つまり、f(x)-2を±e以下にするには、 そう、x-1を±e以下にすれば良いのです。
f(x)=x+1では、最初からx=1の値が計算できてしまうので、 こんな議論は無意味なように思えます。
では、g(x)=(x*x-1)/(x-1)という関数を考えてみましょう。 (「xを自乗して1引いた値」を「xから1引いた値」で割る)
こちらの方は、x=1を代入しようとすると、「xから1引いた値」が 0になってしまい、0で割ることはできないので、 x=1の近傍で、g(x)がどんな値になるか直接答えが求まりません。 でも、
x = 2 のとき、g(x) = 3 x = 1.1 のとき、g(x) = 2.1 x = 1.01 のとき、g(x) = 2.01 x = 1.001 のとき、g(x) = 2.001 x = 1.0001 のとき、g(x) = 2.0001
となり、g(x)-2を±e以下にするには、 やはり、x-1を±e以下にすれば良いことが想像できます。
いかような誤差eを与えられようとも、 それに対応するxの範囲を決定できるとき、 その関数g(x)は極限値を持つ、と言います。
これが微積分の基礎をなす「ε-δ論法」です。 この論法では「限りなく」でごまかさず、 「誤差の程度」をきちんと議論するのです。
関数の値などが代入などによってダイレクトに評価できないとき、 誤差の範囲を狭めていって関数の性質を調べてゆく・・・
これが極限の考え方です。
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