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説明 |
-----Original Message----- 塩を水に入れると水の温度が下がりますが、これにはエネ ルギーとエントロピーがどのように関係しているのですか。 ----- unquote -----
イオン結晶が水に溶解するときに発生する熱を溶解熱とい います。塩を例にとると、以下のようになります。熱なので、 エンタルピー変化ΔHに対応する量です。
溶解熱 結晶が水に溶解するときに発生する熱 NaCl(s) →  Na+(aq) + Cl-(aq) この変化によって、温度が下がったということは、吸熱反応 外界から熱エネルギーを奪ったということだから、生成系で ある水溶液中のイオンの持っている熱エネルギーは、反応 物系であるイオン結晶が持っていた熱エネルギーよりも、吸 熱したぶん、高くなっている。したがって、この反応のΔHは 正の値となる。吸熱反応のエンタルピー変化ΔHは正の値と なり、発熱反応のエンタルピー変化ΔHは負の値となる。溶 解熱は発熱反応として外界に放出した熱エネルギーを正の 値として表現するので、溶解熱= -ΔHとなります。
ということは、熱エネルギー自体は、塩が溶解したほうが高く なるので、この反応は自発的には進行しないように思われる かもしれませんが、反応の進行方向を決めているのは熱エ ネルギー変化ΔHではなく、自由エネルギー変化ΔGのほうな のです。
ΔG = ΔH - TΔS
ですね。つまり、化学反応という 仕事 に利用できるエネル ギーは、熱エネルギーΔHからエントロピー変化によるエネル ギー変化分TΔSを引いたものになるのです。
では、イオン結晶と水溶液ではどちらがエントロピーが大きい でしょうか?エントロピーを乱雑さという視点で考えれば、水溶 液のほうがエントロピーは大きいですよね。従って溶解に伴う ΔHよりもTΔSのほうが大きくなり、結果としてΔGは負の値とな り、溶解反応が自発的に進行することになるのです。
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