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題目 | 水酸化亜鉛は酸やアルカリに溶けるのですか? |
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親単元 | 東光寺 |
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説明 |
pHによって変わりますが、水溶液中のアニオンによっても変わります。
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なんかが参考になるのではと思います。要するに、純水中では不溶だけど、
酸性、強アルカリ中では溶けちゃいます。アンモニア水なんかでは錯体を
作って溶けちゃったりするんですが、ここでは塩化物イオンやアンモニウ
ムイオンは無しで考えます。
水酸化亜鉛Zn(OH)2の安定性は金属腐食なんかに用いられる電位-pH図の
考え方で理解できると思います(25℃)。関係する電極反応は、
1. [Zn(OH)4]2- + 2e ⇔ 4OH- + Zn Eo=-1.285 V
2. Zn(OH)2 + 2e ⇔ 2OH- + Zn Eo=-1.246 V
3. Zn2+ + 2e ⇔ Zn Eo=-0.7626 V
です。標準電極電位は標準水素極を0Vとした相対値です。ここで、金属腐
食の考え方からすると、H+, OH-以外のイオンの活量を10-6 mol/dm3とし、
電極電位をネルンストの式から計算します。2.式と3.式の電位が等しいと
ころがZn(OH)2 ⇔ Zn2+ + 2OH-の解離反応が起る場所で、Zn2+濃度とpH
のみに依存した値になります(Zn(OH)2は純粋な固体なので活量は1となる)。
上記で、H+, OH-以外のイオンの活量を10-6 mol/dm3とすると仮定しまし
たから、それをもとに計算すると、3.式の電位は-0.9396V、2式の電位は
-0.420 - 0.059pHになります。この電位が等しい場所が、酸性側の境界の
pHになりますから、pH=8.807となります。亜鉛イオンの活量を変数とすると、
pH=5.807 - ( log (Zn2+の活量) )/2
となります。同様に1.式と2.式から計算すると、
pH=13.339 + ( log ([Zn(OH)4]2-の活量) )/2
となりますから、[Zn(OH)4]2-の活量を10-6 mol/dm3とすると、pH=10.339と
なります。Zn(OH)2を溶解しないようにするためには、pH範囲は8.8~10.3程度
にする必要があることがわかります。
ここで、活量とは濃度に対応するもので、イオン間の相互作用やイオンと水との
相互作用によってその働きが濃度の数字とは違ってしまうために導入されたもの
で、水溶液中でのイオンの実効的な濃度と考えてください。
水酸化亜鉛は絶縁物かどうかは難しい。どんな条件でできているかによるみたいですし、水酸化物は含水していたりするので、それによっても変わってしまうし…ある程度硬い材料として焼結しようとすると脱水してZnOになってしまうし。ZnOは絶縁体に近い半導体みたいです。欠陥の導入状態によるようです。酸化亜鉛に酸化マグネシウムや酸化カドミウムを固溶させることで、バン
ドギャップを3~4eVの範囲で自由に制御し、超格子などのヘテロ接合が形成できるといわれています。
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