学会発表 |
緒言
リチウム二次電池の正極集電体に用いられるアルミニウムは、フッ素を含む有機電解液中で高電場機構により緻密なバリヤ皮膜を生成して不働態化する。この皮膜は電池の劣化を引き起こすアルミニウムの腐食や電解液の分解と密接な関係があり、皮膜のバリヤ性を向上させることで電池のサイクル特性の向上が期待できる。実際の電池製造プロセスでは、アルミニウム材料の選択、表面処理、正極合剤の塗布、ロールプレス、電解液の注入、化成といった工程からなる。ここでは正極集電体の不働態皮膜の性質と電池性能の関係を明らかにし、それぞれの工程における不働態皮膜の制御方法について検討した。
実験方法
電気化学測定として、電流絞込み時における漏れ電流を測定するために定電位法を用いた。試料極としてアルミニウム箔(多結晶性99.99%、厚み 0.1mm、電解コンデンサー用)の旗型電極(7mm×7mm)を用い、前処理としてアルカリ脱脂を行った。有機電解液として、1M LiBF4/PC+DME(50:50)及び1M LiPF6/PC+DME(50:50)(キシダ化学)を用いた。対極としてPt、参照極にAg擬似参照電極(+3.0V 佐藤幸裕 ,第41回電池討論会 (2000). |
○福井孝一,伊藤智博,大矢博昭 ,第39回ESR討論会 (2000). |
第41回電池討論会, 日時:2000(平成12)年11月20日(月)~22日(水) 場所:名古屋国際会議場 (名古屋市熱田区熱田西町1-1).
1.緒言
リチウム二次電池は電力平準化デバイスとして更なるサイクル特性の向上が期待されている。その正極集電体には、電気伝導性、耐食性、加工性、軽量性、コストなどの視点からアルミニウムが用いられる。このアルミニウム集電体の腐食が、リチウム二次電池の劣化機構のひとつであると報告されている。しかし、アルミニウム集電体の腐食が電池反応にどのような影響を及ぼすのか報告している例はない。ここでは、クエン酸錯体浸漬法によるLiMn2O4薄層電極を用いて、アルミニウム集電体の不働態皮膜の破壊が、正極活物質反応のサイクル特性に及ぼす影響を検討する。
2.実験方法
LiNO3、Mn(NO3)2、クエン酸1水和物を混合し、少量の水に溶解し、集電体として金ワイヤ(φ0.3mm)を浸漬した。そのままロータリーエバポレータで70℃、1h蒸発し、強粘性の液体を得た。この液体を真空乾燥機(YAMATO DP22)で、真空乾燥し、フレーク状の中間体を経て、仮焼、 立花和宏 ,第41回電池討論会 (2000). |
○福井孝一,伊藤智博,大矢博昭 ,日本化学会第79春季年会(2001) (2001). |
炭素打ち込み電極。
高電場機構(HFM)による皮膜生成に対応した電流平坦部が観察される。2サイクル目はほとんど電流が流れない。
●導電助剤による不働態皮膜への導電性付与は、もともと存在する皮膜欠陥部に炭素が接触して与えられる。
●グラファイトを用いるとアニオンのインターカレーション反応が起きる。
● PC+DME溶媒中の方が炭素/電解液界面での溶媒の酸化分解が起こりにくい。
● PC+DME溶媒中では導電助剤にグラファイトよりもアセチレンブラックを用いた方が溶媒の酸化分解による活物質が劣化が起こりにくい⇒#596@ノート;。
↑これは、アセチレンブラックの方が酸化分解が進んだ結果、電流を流しにくくなったためと考えられる。
電気化学会第68回大会@兵庫県神戸市⇒#198@ノート;
圧着 導電助材 アルミニウム 集電体
【関連講義】
2000年度(平成12)卒業研究⇒#516@講義;
導電助材⇒#1670@講義;
導電助材|電解液⇒#2493@講義;
カーボン材料|溶媒⇒#2609@講義;
打ち込み電極⇒#1797@講義;
学会発表2001 ○佐藤幸裕・立花和宏・遠藤孝志・仁科辰夫 ,電気化学会第68回大会 (2001). |
兵庫県神戸市
●2000年度(平成12)卒業研究⇒#516@講義; ○望月亮・立花和宏・遠藤昌敏・遠藤孝志・仁科辰夫・井原忠雄 ,電気化学会第68回大会 (2001). |
リチウム電池正極アルミニウム集電体の表面処理と電池性能の関係
アルミニウム集電体に沸騰水処理をすると接触抵抗が大変大きくなります。 ○立花和宏・遠藤孝志・仁科辰夫 ,表面技術総合展METEC01 (2001). |
○T. Ito, K. Arai, K. Fukui, M. Sugawara, T. Ogata ,Joint Symposium on Bio-Sensing and Bio-Imaging, Pre-Symposium of ICAS2001 (2001). |
学会… |