平たく言えば物質(誘電体)の電気をためておく度合い。電場におかれた誘電体の分極のしやすさ。電気がたまることと電気が流れることは違います。流れるとたまらずに漏れてしまいますからね。電気の流れやすさの方が導電率といいます。誘電率はクーロンの法則に出てきます1)。実際には、真空の誘電率に対する比誘電率が良く用いられます。電場の誘電率は磁場の透磁率に対応します。マクスウェル方程式に電磁場に対する物質の応答式として、誘電率、透磁率、導電率を組み合わせると電磁気的現象を統一的に計算することができます。透明な均質等方性媒質では屈折率は誘電率と透磁率から導かれます2)。
コンデンサの性能は、電極面積、電極間距離、誘電体の誘電率で決まります3)。真空の誘電率4)は物理定数です。
電波による誘電加熱では誘電率が高い物質ほど発熱しやすくなります。水の誘電率は空気や陶磁器に比べて非常に大きいため、電子レンジで空気や皿を熱くせずに食品だけを加熱できます。
( 1)  チャールズ・オーガスチン・クーロン(仏)1736―1806, 科学者・学者・医者仁科 辰夫, 電気化学の庵, 講義ノート, ( 2008). ( 2)  コンダクトメトリー:界面情報からバルク情報へ藤嶋昭, 相澤益男, 井上徹著, 電気化学測定法, 技報堂出版, ( 1984). ( 3)  電気をためる・・・分極, 電気と磁気と物質と仁科 辰夫, 電気化学の庵, 講義ノート, ( 2008). ( 4)  ε0 = 8.854187816E-12,  真空の誘電率,  permittivity of vacuum,  ファラッド毎メートル, ( 物理量).
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