この試薬は、BAPTA-AM1)をジメチルスルホキシドに溶かした無色の液体である。
BAPTA-AM(O,O’‐ビス(2‐アミノフェニル)エチレングリコール‐N,N,N’,N’‐四酢酸テトラアセトキシエステル)2)は BAPTAのカルボキシル基3)をすべてアセトキシメチルエステル化したもので、細胞内に容易に取込ませることができることが特徴である。
細胞内のエステラーゼによりエステルは分解されBAPTAとなり、BAPTAとしての機能を細胞内で示すようになる。生成した BAPTAは細胞内に取り込まれたままになりやすい。
BAPTAは,カルシウムイオン(Ca2+)4)のキレート剤として働く。
カルシウムキレーターとしては,GEDTA5)などもあるが,BAPTAは,pH7付近でも安定したキレート剤として働く特徴がある。
取扱上の中としては、ジメチルスルホキシド6)(DMSO)が溶媒であるため、引火性である。
取扱注意点としては、危険物第四類第三石油類であり、火気厳禁である。
また、保存条件は、遮光,冷凍である。
( 1)  BAPTA-AM粉末,  BAPTA-AM, ( 材料). ( 2)  O,O’‐ビス(2‐アミノフェニル)エチレングリコール‐N,N,N’,N’‐四酢酸テトラアセトキシエステル,  O,O'-Bis(2-aminophenyl)ethyleneglycol-N,N,N',N'-tetraacetic Acid Tetraacetoxymethyl Ester,  C34H40N2O18, FW = 764.6942 g/mol, ( 化学種). ( 3)  カルボニル基,  ,  CO, FW = 28.0104 g/mol, ( 化学種). ( 4)  カルシウムイオン,  ,  Ca(2+)2+, FW = 40.078 g/mol, ( 化学種). ( 5)  グリコールエーテルジアミン四酢酸,  Ethylene glycolbis(aminoethylether)-tetra-acetic acid,  C14H24N2O10, FW = 380.35196 g/mol, ( 化学種). ( 6)  ジメチルスルホキシド,  Dimethyl sulfoxide,  (CH3)2SO, FW = 78.13504 g/mol, ( 化学種). | |