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仁科辰夫教授 最終講義 2023.3.17 米沢キャンパス中示A

【研究ノート】 【執筆】塗布工学

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研究ノート-【執筆】塗布工学@1642-【執筆】塗布工学

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ID⇒#1642@研究ノート;
要約【研究ノート】【執筆】塗布工学⇒#1642@研究ノート;
日時記録=2011/5/31, 修正=2011/5/15
研究者立花 和宏
リンク関連外部URL=http://c1.yz.yam…, 学認共有URL=講義 研究 発表 業績 テーマ 製品 計算式
内容関連講義卒業研究-電気化学2004,エレクトロニクス分野における精密塗布乾燥技術20111)

リチウムイオン次電池における精密塗布乾燥技術

リチウムイオン次電池における精密塗布乾燥技術従来の精密塗布乾燥技術違う点があるとすればそれは塗布乾燥後の電極が電解液浸漬された状態で電極として動作しなければならないという極めて当たり前の点である言い換えればいか安定な塗料作りいか堅牢な塗膜作ろうとも電解液に浸漬された状態で電極として動作しなければまったく意味なさないし逆に塗布乾燥の工程で少々技術上の難があったとしても電極して素晴らしい機能発現すればそれは分評価に値する技術なのである実際の現場では工程と電極性能との兼ね合いで妥協点模索することになろうがここ特にリチウムイオン次電池の正極について電極動作発現の視点から精密塗布乾燥技術論じてゆきたいと思う


集電体

電池の内部から外部回路へ電流取り出す部材集電体集電材集電子などと呼ぶ般のリチウムイオン次電池では電極面積多くするために電極箔ぐるぐる巻きにしたジェリーロール構造るため集電体集電箔ホイルと呼ぶこともある次電池と異なり次電池では充電によって電池内部が放電前の状態に戻ることが必要であるしたがって集電体も電気伝導性や機械的特性に加えて充電に適した特性持つ金属が選ばれている般的には正極箔には充電時に高い電位でアノード分極されても有機電解液中で不働態化しかつ有機電解液の分解抑制するアルミニウム負極箔には充電時に低い電位でカソード分極されてもリチウム合金化することのない銅が選ばれるもっともチタンリチウムのような高電位負極活物質が採用されれば負極箔にも銅より軽量のアルミニウムが採用される可能性がある

さてリチウムイオン次電池の正極箔の集電体として使われるアルミニウム箔の表面には自然酸化皮膜が存在しておりこれが空気中でアルミニウム箔が耐食性有する因であるさらなる耐食性の向上と表面の機能改善のために積極的にこの酸化皮膜利用するのに予めアノード酸化施したアルマイトなどの工業製品があるこれらアルミニウム箔の表面酸化皮膜は空気中など環境中の酸素や水分によって平衡状態にありかりにキズがついたとしてもその酸化皮膜は酸素や水分によって自己修復されるところがリチウムイオン次電池では負極の動作にリチウムの酸化還元反応が関与するため電解液にはリチウム反応しづらい非プロトン性溶媒使う必要があり結果してリチウムイオン次電池の内部環境において正極箔であるアルミニウム箔に対する溶媒の自己修復機能は期待できないそればかりか充電時に高い電位でアノード分極されるためアノード溶解引き起こす可能性があるそのため般的なリチウムイオン次電池ではアルミニウム箔とPF6-BF4-いったアルミニウム不働態化促すアニオン含む電解液と組み合わせる

このように正極箔の集電体として使われるアルミニウム箔の表面には不働態皮膜が存在するがこの不働態皮膜は電池活物質と電子の授受は行えないそこで炭素導電助材が集電箔と活物質の電子輸送の橋渡し役として使われるアルミニウム箔の表面の不働態皮膜は不定比化合物半導体ともいうべき性質有し有機電解液や活物質に対してはほぼ絶縁体として振舞うが炭素導電助材電子授受行うことができるそこで実際の電極製造工程では炭素導電助材正極活物質混合して分散した合材スラリー作成しそれアルミニウム箔に塗布乾燥して正極箔とする


合材スラリー

合材スラリー構成する個々の材料の特性云々することは考になることがあっても必ずしもそれらが電池性能に反映されるとは限らない電池性能担うのは材料同士のヘテロ界面あるからむしろ材料の最適な組み合わせ探すことこそ肝要である電池エネルギー密度向上ため塗布する合材スラリー活物質以外の材料配合することは極力低く抑えたいしかしながら実際の合材スラリーアルミニウム箔との導電性確保のための炭素導電助材それら結着させるためのバインダーさらにはスラリーして塗布適性向上させるための溶剤分散媒ヒビクル分散剤などが配合されるそれらが配合された合材スラリー集電箔について電池性能向上させるための最適な組み合わせ探すことになる合材スラリーの分散安定性やレオロジーの制御については特にリチウムイオン次電池に限った話ではないただ電池性能に影響及ぼさないという制限が課された範囲で検討する必要がある


乾燥

乾燥硬化過程において活物質や導電助材などの分散質が偏析しないようにするというのも特にリチウムイオン次電池に限った話ではない合材スラリー中の溶剤分散媒は乾燥硬化過程において電極から完全に分離除去されるべきであるが分散質粒子表面に吸着した溶剤分散媒まで分離除去されたこと保証するのは現実的ではないここリチウムイオン次電池における乾燥過程としては残留した溶剤分散媒電池性能どのような影響及ぼすか予め把握し電池設計反映させることが大切である


分散安定性与えるには般に粒子表面溶剤分散媒親和性のある状態としかつ粒子同士が近接しないようにする必要があるしかし乾燥後の電極においては粒子同士がしっかりと電子ーク構成する必要があり分散安定性の向上が電子ーク形成阻害しないように工夫しなければならないあまり粉体濃度が低い段階から電子ークの形成意識しすぎると構造粘性生じてレオロジーや塗布適性に支障与えることになるまたイオン化合物である活物質は極性固体であり共有化合物である炭素材料は非極性固体であり異なる性質有する種類固体粒子分散安定性与える点も忘れてはならない


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